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COLUMN 07 この秋はオフィスで着るビジカジスタイルを、紺ブレで上品に!

クールビズの浸透にともない、秋冬でもオフィスにはビジカジスタイルの方が多く見受けられるようになりました。
これは、男性、女性にかかわらず、数年前に比べると本当に多くなった気がします。
そしてカジュアルスタイルOKのオフィスでもジャケット着用と言われれば“紺のジャケット”という方が多いのではないでしょうか?しかし一つ間違うとスーツの上着を着てきた人と見られがちです。

そして、紺のジャケットといえば代表的なアイテムは“紺ブレ”ではないでしょうか。
そこで今回は、“紺ブレ”の話です。

– 紺ブレといえば、“アメトラ”
アメトラ=アメリカントラディショナルの起源は?

アメリカントラディショナル(通称アメトラ)という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。そのアメトラの代表的ブランドが「ブルックス・ブラザース」です。ブルックス・ブラザースの創業は今からちょうど200年前、英国から輸入した食品を売る店でスタートしました。創業者のヘンリー・サンズ・ブルックスのロンドン仕込みのスタイルが評判になり、英国から輸入した生地でスーツを仕立てる店舗を開業します。それから約80年の時を超えて1901年にアメリカントラディショナルの基本といえる「NO.1サックモデル」が誕生します。

この「NO.1サックスーツ」の特徴は、肩パット極力薄くしたナチュラルショルダーで、ウエスト部分にはまったく絞りを入れないボックスシルエット、センターベンツでシングル3つボタン(段返り)でした。この「NO.1サックスーツ」の登場により、新興国であるアメリカが英国の影響から脱却し、アメリカらしい独自のファッション文化を獲得したのです。この時ブルックス・ブラザースは『これこそが、希望に満ちたアメリカにふさわしい趣味の良いスーツである』とコメントしています。
しかし当時は既製服が流通しておらず、カスタムテーラーと呼ばれる注文服を仕立てることが普通でした。そしてこの当時の、アメトラのもう一つの代表ブランド「J.PRESS」もこの時代にアイビーリーグの名門私立大学イエール大学の近くで創業します。当時のアイビーリーグの学生やOB達はアメリカの上流階級出身者が多く、注文服は庶民の手に届かないもので、アメリカントラディショナルのスーツを身に纏うアイビースタイルは憧れの象徴でした。

– 工業技術が生み出した“アイビールック”と“新たなアメリカンスタイル”

一部の富裕層し着ることができなかったアイビースタイルも、1950年頃になるとミシンの発達や技術力の向上により既製品を大量生産するメーカーが台頭してきたことにより、NO.1サックスーツを真似て大量生産を開始します。そして量産メーカーのデザイナー達がアイビースタイルを真似た“アイビールック”を生み出し、一部の富裕層の特権だったアイビースタイルが、瞬く間にアメリカ全土に広がります。アメリカントラディショナルのスーツが流行になった理由のもう一つは、NO.1サックスーツのシルエットがヨーロッパのボディーラインを強調したシルエットとは違う体型を選ばないシルエットで、合理主義のアメリカにおいて大量生産を可能にしたからです。

こうして大衆ファッションとして認知されたアイビールックですが、「子供っぽい」と思う一部の大人たちはクラシックで男らしいブリティッシュスタイルに憧れを持っていました。1970年頃、ネクタイブランドからスタートした「ラルフローレン」は、ブリティッシュスタイルを独自の感覚でスーツへと落とし込み、ナチュラルショルダーとゆとりある胸元はそのままにウエストを絞り込んだシルエットに、サイドベントや2つボタンなど英国調のディテールを盛り込んだ新たなアメリカンスタイルのスーツを発売しました。
こうしてアメリカでは、ブルックス・ブラザースの作り上げたNO.1サックスーツを源流とするアイビースーツと、ラルフローレンが生み出した新しいアメリカンスタイルが今でも受け継がれています。

– アイビールックと“ブレザーのつながり”

アイビーリーグは、アメリカ北東部に所在する名門私立大学8校で構成されているカレッジスポーツ連盟がもとになっています。しかしスポーツだけにとどまることなく、学問・教育などどの分野でも使用され、東海岸のエリート校として上流階級の象徴とされてきました。彼らへのあこがれは、スポーツや学問にだけではなく、ファッションにおいても注目され、特に各校のエンブレムの入ったブレザーは羨望の的となっていました。
そんなアイビーリーグの学生たちのファッションを真似たアイビールックが世間に広まると、ブレザーにボタンダウンシャツ、コットンのスラックスにコインローファーというコーディネートが全米で流行していきます。
ブレザーはもともと、1870年代のイギリスでボートレースの選手が着用していたジャケットいう説があり、生地はウールかフランネル、ボタンは金属製で色は暗めな無地を使用した制服的要素の強いものでした。
アイビールックでのブレザーは、NO.1サックスーツのボックスシルエットで、紋章が入った金ボタンとスポーティーなパッチアンドフラップポケット、シングル3ボタンの段返りでセンターベント、ステッチはコバより7mm内側に入ったカジュアルなものが主流でした。

– 日本における “アメトラの歴史”

アイビールックは海を渡り、1960年代高度経済成長期の日本でも「みゆき族」の登場とともに爆発的な流行となります。当時アイビールックは上品なカジュアルスタイルと認知され、その後70年代には「ニュートラ」「ハマトラ」など独自のトラッド文化を形成していきます。その後、ジーンズやスウェット、スニーカーなどアメリカを代表するアイテムが日本でも販売されるようになり、1970年代にアメリカのトラディショナルブランドの商品や古着を輸入販売するセレクトショップが台頭してくると、「アメカジ」というアメトラのカジュアル化が加速していきます。1980年代には、ストリートとトラッドが融合した「渋カジ」が流行し、昔ながらのアイビールックとは全く違う日本独自の着こなしとなっていきます。日本における「アメトラ」も「アメカジ」も、もともとはアイビールックを発端としており、短い期間に独自的に発展していった、日本特有のファッション文化といえます。

その中で60年代に流行した上品なカジュアルでもある正統的なアイビールックは、ヨーロッパブランドや日本のDCブランドの台頭により70年代から80年代に一時衰退していました。NO.1サックスーツのボックスシルエットは少なくなり、アメリカントラディショナルを謳う有名ブランドも、ブリティッシュ調の新しいアメリカンスタイルが主流となり、現在ではボックスシルエットのスーツは最小限のラインナップとなっています。
そんな中で紺色のブレザー(紺ブレ)だけは、ボタンの素材や色が変わりながらも一定の人気をキープし、ビジネスシーンではグレーのウールスラックスとコーディネートされる一方、渋カジブームでも「キレカジ」と呼ばれた少年たちの間で流行していました。その後、トレンディードラマで人気女優が紺色のダブルブレザーを着用し、1991年には「紺ブレ」が流行語大賞となるほどの大ヒット商品になります。
その後、クラシコイタリアブームの到来とともにアメトラスタイルの紺ブレは少なくなり、さまざまなシルエットや素材の紺色のジャケットが登場し、紺ブレは数多くある紺色ジャケットのひとつとなります。

– 2018AWアメトラを“ビジネスに取り入れる”

現在の日本のビジネスシーンにおける一番の主流は、イタリアのエレガントなシルエットだということは前回にもお伝えしています。そこに英国のクラシックディテールを少し加えて国をこえたミックス感を楽しむのが今シーズンのポイントの一つでした。
そして、もう一つのおすすめポイントが、イタリアンシルエットの中に、アメトラのディテールをミックスすることです。日本におけるアメトラは、アイビールックがベースとなっており、上品なカジュアルの印象があります。普段着では、アメトラをよりカジュアル化したアメカジをベースとしたコーディネートをしている方が多いことから、現在のカジュアルダウンしたビジネススタイルの中にも溶け込みやすく、抵抗なく取り入れられると思います。

アメトラのディテールで代表的なのは、ジャケットでいえば3ボタン段返り・パッチポケット・センターベント・コバより内側に入ったステッチ、パンツではアウトプリーツ・尾錠が上げられます。
アメトラをミックスしたアイテムの中でもおすすめなのは“紺ブレ”です。近年、数多くある紺色ジャケットのひとつとなっている「紺ブレ」ですが、アメトラの歴史とディテールを一番表現でき、ビジネスでもカジュアルでもコーディネートしやすい万能ジャケットです。特に、今シーズンのおすすめディテールはメタルボタンです。アメリカントラディショナルのルーツにつながるアイビールックの象徴的アイテムを、現代風のアレンジでビジネスにもカジュアルにも着まわしてみてください。

この秋の紺ブレに“おすすめの生地“

紺ブレの定番的な素材と言えばウールサージです。ウールサージは制服などに多く使われる毛羽立ちを抑えた少し固めのしっかりした素材です。しかし、イタリアのエレガントなシルエットには少々固すぎてしまいます。
そこで、今シーズンHANABISHIがおすすめする「紺ブレ」にぴったりの生地は 【アクアストレッチ】です。
この生地は、HANABISHIが国内の有力生地メーカーに別注した、ウール100%の国産オリジナル生地です。伸縮率10%を超えるナチュラルストレッチを保有し、しなやかで高級感ある光沢と適度なハリを合わせ持った、イタリアンシルエットでつくるアメトラディテールの紺ブレに最適な生地です。
ビジネスでの少しドレッシーなコーディネートから、ビジカジ、カジュアルまで様々なシーンで着まわせる最高の一着ができること、間違いなしです。

オーダージャケット価格¥49,000(税込)〜

HANABISHIで作る紺ブレのおすすめコーディネート
アクアストレッチ × シングルブレザー

今シーズン紺ブレに最適なアクアストレッチの生地を使用したスタイリングです。
サージよりも柔らかく、フランネルよりも毛羽立ちが少ない、程よい光沢のある生地はイタリアンシルエットとの相性が抜群です。イタリアの素材よりハリもあるので、少し重たいメタルボタンを付けても重みで生地が垂れてくることもありません。7mmのカジュアル感あるステッチも上品な印象に見えます。3パッチのポケットは、胸にエンブレムを付けていたアイビールックの時代へのリスペストの意味もこめられており、1990年代に日本で流行した紺ブレとは全く違う新しい紺ブレを表現しています。
パンツは、ウール、コットンなど素材は問わず、イギリスでアメリカンタックと呼ばれているアウトタックにすると、よりアメトラをミックスした印象になります。シルエットは、イタリア的なテーパードシルエットがいいでしょう。
ビジネスシーンでは、定番のグレーのウールスラックスと合わせれば、上下揃いのスーツと同じくらいフォーマルな印象になります。ビジカジシーンでのおすすめは、コットンパンツとのコーディネートです。白やオフホワイト、ベージュはもちろん定番的なコーディネートですが、今シーズンはカーキやブラウンなど濃色のコットンパンツと合わせるのもおすすめです。
カジュアルシーンは、デニムとハイゲージニットの定番コーディネートに羽織ることで、いつものスタイルが少し上品な印象になります。
シャツは、アメトラの定番中の定番オックスフォード素材のボタンダウンはもちろんですが、ビジネスであればワイドスプレッドのブロードシャツ、ビジカジであればギンガムチェックなども相性抜群です。
ネクタイは、アメトラの定番でもあるレジメンタルタイを合わせるといいですが、学生のような細めの柄ではなく太目の柄を合わせるのが今シーズンのポイントです。

今シーズン一押しのスタイリングは、パンツにオフホワイトのコーデュロイツータックパンツ、同素材のカジュアル感あるベストをコーディネートして、エレガントなイメージのイタリアンシルエットを程よく上品にカジュアルダウンしました。シャツにはアメトラの定番ともいえるギンガムチェックですが、色はあえて茶色を選びました。これは、イタリアで代表的な色合わせでもある「アズーロ エ マローネ」という紺(青)と茶の組み合わせです。日本のファッション文化で重要な役割を果たしたアメトラと、現在のトレンドであるイタリアンシルエットが融合した、懐かしいけど新しい紺ブレコーディネートです。

「アメリカントラディショナル」と「紺ブレ」についてのお話はいかがでしたか?
洋服の歴史を知りながら、一つ一つのディテールを選んだり、コーディネートを考えたりすると、いつも以上に仕立てた洋服が好きになる気がしませんか?
2018AWシーズンは、HANABISHIのフィッターと洋服の歴史について考えながら、柔らかでエレガントなイタリアンシルエットに、ちょっとアメリカのトラディショナルなエッセンスを取り入れて、オフィスで使えるビジカジジャケットコーディネートを仕立ててみるのはいかがでしょうか?

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