車椅子利用者向けオーダースーツ HANABISHI

車椅子利用者向けオーダースーツ HANABISHI

SPECIAL

MEN’SINTERVIEW

上原 大祐さん

INTERVIEW

夢が、いちばんのエネルギー。Sail Your Own Dreams.

<プロフィール>
1981年12月27日 長野県軽井沢町生まれ。
2006年、2010年 冬季パラリンピック大会アイススレッジホッケー競技に出場。
2010年 バンクーバーパラリンピックでは、準決勝のカナダ戦で価千金の決勝ゴールを決め、銀メダル獲得に貢献。
2013年 引退後はNPO法人D-SHiPS32(ディーシップスミニ)を立ち上げ、障害を持った子供たちをサポートしている。
2017年 一般社団法人障害攻略課を立ち上げ、企業や自治体のアドバイザーまた、商品開発、地域活性など様々な分野で活動しています。

夢が、いちばんのエネルギー。

車椅子ユーザーはスーツを諦めている

―「車椅子利用者向けオーダースーツ」の商品開発協力を依頼された時、どう思われましたか?

もともとファッションに興味があるので、車椅子ユーザーの衣服に対して大きな課題意識を持っていました。先天性の障がいがある私のように上半身が大きく、下半身が小さい車椅子ユーザーの中には、スーツでのおしゃれだけでなく、スーツを着ること自体を諦めている人たちも多くいます。既製品では上のサイズに合せると下がダボダボしてしまうし、下のサイズに合せると上がきつい。通常のオーダースーツは既製品よりは少しましですが、車椅子をこぐたびにジャケットの裾がめくれ上がったり、座ったままの姿勢でいるため股上の布がダブついたりして格好悪い。しかし素人なのでどうオーダーすれば、これらの課題が解消されるのかもわからず、困っていたところへスーツのプロであるHANABISHIさんからのお話がありました。探していたところを逆に見つけてもらったようで嬉しく、「ぜひやらせてください!」と即答したのを覚えています。

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見た目も、見た目にはわからないところも

見た目も、
見た目にはわからないところも

―「車椅子利用者向けオーダースーツ」の完成度はいかがですか?

凄くいいです!股上もひざ裏もダブつかずフィットしてすっきりしています。また、見た目も去ることながら、私たち車椅子ユーザーがスーツ着用時に一番ストレスに感じていた、車椅子をこぐたびめくれ上がってしまうジャケットの裾にも工夫が施されていて、裾を気にしながら、裾を抑えながら車椅子をこぐ必要がなくなりました。また、車椅子のハンドルを握った時、タイヤと擦れてしまう袖口はスーツと同系色の皮で補強してあります。パンツの後ろポケットは飾りポケットになっていて、片方ずつお尻を持ち上げながらズボンを履いたり脱いだりする際、お尻でポケットの袋を破いてしまう心配も要りません。車椅子ユーザーに特化した工夫は挙げきれないほど凝らされていて、見た目はもちろんのことスーツを着ること、スーツで動くことがストレスフリーになりました。何度も改良を重ねて出来上がったスーツですが、初めてのサンプルを試着させてもらった時、そのクオリティの高さに凄いものができる予感がしてワクワクしました。実際、私自身が満足することで、車椅子ユーザーの皆さんを満足させるスーツが出来上がったと思います。

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スーツを選ぶ機会が増え、おしゃれの幅が一気に広がる

スーツを選ぶ機会が増え、
おしゃれの幅が一気に広がる

―「車椅子利用者向けオーダースーツ」はどんな時に着用されていますか?

会社員なので平日は毎日。週末も社会起業家として講演会やシンポジウム、TV出演などでスーツを着用します。しかし、これまでスーツはなるべくなら着たくないものでした。健常者向けにデザインされたスーツでは、格好がつかなかったからです。それが今回、様変わりしました。HANABISHIさんでスーツを5着新調したのですが、今まではスーツを選ばなかった場所やドレスコードのないパーティーや異業種交流会などにも、スーツで出掛けるようになりました。このスーツを着るだけでおしゃれに見えるし、着心地がよく、楽に動けるからです。カジュアルな格好の私しか知らない友人たちは「スーツを着ているのを初めて見た」と驚いています。また、車椅子の仲間たちからは「それどこのスーツ?」と必ず聞かれます。多くの車椅子ユーザーがスーツジプシーですから目ざといのです。もちろん自分からもどんどん発信しています。シャツやネクタイとの組み合わせを考えたり、今まで着たことのない色のスーツを着たり、おしゃれの幅が一気に広がり楽しくなりました。

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当たり前のことを当たり前にするために

当たり前のことを当たり前にするために

―上原さんにとってスーツはどんなものですか?

人前に立つことの多い私にとって、スーツはゼロ枚目のプレゼンシートのようなもの。袖を通すだけで気合が入り、会う人にいい第一印象を与えるものでなくてはいけません。社会起業家として車椅子の子どもたちと接する機会も多いのですが、彼らが大人になる未来には、このオーダースーツが普及して、当たり前になっていることでしょう。私たち障がい者の周りには、当たり前のことが当たり前に叶わない、そんな課題がたくさんあります。でもその課題は新しいものが生まれるチャンスであり、多くの人のハッピーにつながる未来なのです。新しい夢もできました。いつかHANABISHIさんとパラリンピック日本代表選手たちの式典用スーツを作りたい。外国人選手のスーツはかっこいいんですよ。日本人選手のハレの舞台をかっこいいスーツで盛り上げたいですね。

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LADIES’INTERVIEW

山本 恵理さん

INTERVIEW

特定非営利活動法人日本パラ・パワーリフティング連盟
パラ・パワーリフティング女子55kg級 日本記録保持者

<プロフィール>
1983年5月17日 兵庫県神戸市出身
2016年 ジャパンカップ 55kg級優勝(記録40kgは日本記録)
2016年 全日本選手権55kg級優勝(記録50kgは日本記録)
2017年 ワールドカップドバイ大会:50kg級6位
競技開始わずか1ヶ月で国内大会へ出場し、日本記録もマーク。東京パラリンピック出場を目指し日々トレーニングに取り組む。
2018年6月 チャレンジカップにて55kg級、53kgをあげて優勝、および日本記録更新。

スタイル良く見られたい
女性の願いまで叶えるスーツ

―スーツやジャケパンの開発にあたり、普段どんなことに悩みがあり、何を留意して開発協力されましたか?

これまではスーツを諦めていました。スーツは元々立ち姿が様になるように作られているもの。ですから、私たちのように常に座った状態では、襟元が浮いてしまったり、ひざ裏がダブついてしまったり、パンツから下着や背中がのぞいたりして当然、着崩れます。せっかく見た目の印象を良くしようと思って選んだスーツが逆効果に…。しかし、ビジネスシーンでは着ないわけにもいきません。「スーツ、どこで買ってる?」と聞き合うのが、車椅子ユーザーの挨拶代わりになるくらい私たちは困っていたんです。ところが、ある日、HANABISHIさんで車椅子ユーザー向けの男性用スーツが開発されたと聞きました。「早く女性用スーツも!」と願っていた矢先、開発協力のお話をいただき喜んでお引き受けしました。今回の開発で一番気に入っているのは、男性用スーツにはないウエストの「夫婦(めおと)ボタン」です。可動域を広げるため、車椅子をこぐ時には欲しいウエスト周りのゆとりがこの夫婦ボタンで生まれます。車椅子をこいでいない時は、夫婦ボタンをシングルボタンに留め直すことでウエストをシェイプすることができます。少しでも細く見られたい女性ならでは願いを叶えてくださいました。

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車椅子に座ったままの採寸でぴったりの一着が出来上がる

車椅子に座ったままの採寸でぴったりの一着が出来上がる

―HANABISHIのスーツと出会ったことで、
どんなことが変わりましたか?

これまで一着、二着しかなかったスーツが、今はクローゼットの半分以上を埋め尽くしています。上下セットのスーツに加え、ジャケットだけ、パンツだけの単品アイテムも新調しました。HANABISHIのスタッフの方々は、私に似合う色やスーツの流行なども教えてくださるので、スーツとの距離が一気に縮まったばかりか、急速にスーツのお洒落上級者に!最近、新調した白地に水色の細かいチェックが入ったジャケットなんて、自分ひとりでは絶対に選べなかったものです。この夏は、そのジャケットにネイビーや白のパンツを合わせて、爽やかなスタイルを楽しみたいと思っています。見た目だけでなく、着ていて体が楽だから自然と手が伸びるんですよね。楽といえば着る前からも。HANABISHIのオーダースーツは、広い試着室で車椅子から一歩も立ち上がることなく採寸できます。以前、他のところでオーダースーツを作った時は、狭い試着室でスタッフの手を借り、立ったり座ったり後ろを向いたり…、採寸が終わる頃にはもうぐったり。結果、仕上がったスーツは車椅子ユーザー仕様ではないためオーダースーツとは言い難いものでした。HANABISHIのスーツ、HANABISHIのスタッフさんと出会えたことで、体の、おしゃれの「楽」が増えたんです。

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当たり前を変えたのは、不可能を可能にする工夫

当たり前を変えたのは、不可能を可能にする工夫

―スーツやジャケパンというアイテムによりファッションの幅が広がったことで、他にはどんな楽しみが増えましたか?

人前に立つという楽しみが増えました。2020年のパラリンピックに向けて、より講演をする機会が増えます。これまでも登壇の際にはスーツを着ていましたが、格好良く着こなせるようになったことで人目を気にする必要がなくなり、スーツに身を包んだ自分に自信が持てるようになりました。車椅子ユーザーが集まる機会にもあえてスーツで出掛けたいですね。きっとすぐ聞かれると思います、「そのスーツどこの?」って。そのくらい歴然と違うんです。また、カジュアルなパンツにスーツのジャケットを合わせたり、その逆も。本来、好きだったけど選択できずにいた「キレイ目カジュアル」にもどんどんチャレンジしていきたいと思います。私は常々、健常者より選択肢が少ないことこそが「障がい」と感じています。HANABISHIのスーツは車椅子ユーザーに選択肢を増やし、ファッションの障がいを無くしてくれました。私がよく言う「不可能を可能にするのは工夫」という言葉は、このスーツにも当てはまります。完成までにはスーツ職人さんの手仕事によって、様々な試行錯誤が凝らされています。しかし、職人さんは苦労を一切語ることなく「こんなの出来たよ!」と嬉しそうなお顔で、毎回サンプルを持って来てくれました。車椅子ユーザーが一番恰好良く見えるスーツを、私たち以上に諦めないでくださったことに感謝です。

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新調したスーツで気持ちに弾みをつけ社会へ

新調したスーツで
気持ちに弾みをつけ社会へ

―同じ悩みを抱える車椅子ユーザーの女性たちに何かメッセージを。

2020年のパラリンピックを契機に「共生社会」を目指していく中で、今後、女性の車椅子ユーザーの社会進出も増えていきます。また、職場において管理職など重要な役職に就く女性も増えていくでしょうし、そうなることを願っています。私が日本財団パラリンピックサポートセンターの職員として、仕事をしながらパラリンピックを目指すのも、共生社会のひとつのお手本になりたいからです。卵が先か、ニワトリが先か、のように社会に一歩を踏み出すのが先か、スーツを新調するのが先か。一歩を踏み出す勇気がない人も、先にスーツを新調することで、就職へ向かう気持ちに弾みがつくかもしれません。HANABISHIのスーツなら確実にデキる女に見えます。そんなスーツに背中を押されて一歩を踏み出し、中身は徐々にスキルアップしていけばいいのではないでしょうか。私がこれから挑戦してみようと思っているスーツスタイルは、スカートとの組み合わせです。足を出すことに抵抗があり、今までスーツに限らず一枚もスカートを持っていませんでした。でも、ジャケットやパンツ同様、工夫が凝らされているスカートなら、きっとまた楽しみの選択肢を増やしてくれることでしょう。

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代表挨拶

花菱縫製は、1935年創業以来、「オーダースーツ」の先駆者として「社会への貢献」、「技術革新とシステム化」、「人間尊重」の経営理念のもと商品の企画・生産・販売に至るまでのSPAシステムを採用し、時代のニーズに対応した、高品質で着やすく、フィット感のあるスーツを常に研究開発し、お客様のリクエストにお応えする国内縫製のスーツをお仕立てして参りました。

たくさんの方にオーダーメイドスーツを楽しんでいただきたいと思っている中で、今回、車椅子をご利用のお客様から“結婚式などのフォーマルな場所にお出かけする際の満足するスーツが手に入らない”とのお話をお聞きし、オーダースーツの楽しさを車椅子利用者の方にも提供したいと考え、座った状態を基準に、見栄えと着心地に配慮したスーツを開発いたしました。

この新しく開発したスーツをご利用いただき、いろいろな場面に出かけ、人生を楽しんでいただければと思います。

今後も私たちは、長年培ってきた豊富な実績とノウハウにさらに磨きをかけ、お客様の信頼をいただきつつこれからも、果敢にチャレンジしお客様のリクエストにお応えして参ります。

花菱縫製株式会社
代表取締役

野中 雅彦