スーツのトレンドはクラシック!

スーツの着こなし

2019.2.21

ジョングリーニシュ、コルキス、トーニャ

目次

トレンドはクラシック!

近年、毎シーズンのようにメンズのファッショントレンドのキーワードの一番目に話題に上がるのは“クラシック”。特にスーツやジャケットなどのドレスアイテムは、生地もディテールもクラシックな雰囲気が満載です。

そこで、今回は、今シーズンのスーツや雑貨のトレンドから、この春スーツを新調する際のポイントをご紹介します。

トレンドキーワード“クラシック”

スーツにおける“クラシック”の基本とは!

1850年頃、イギリスで生まれたラウンジジャケットから始まったスーツの起源ですが、イギリスの「サヴィル・ロウ」という王室御用達や軍服の仕立て屋が集うストリートで生み出された構築的な男っぽさ、イタリアの「サルトリア(仕立て屋)」の優秀なサルト(職人)たちが文化や気候に合わせ作り出したエレガントなシルエット、アメリカの「NO.1サックスーツ」から発展したボックスシルエットなど、時代とともに進化を遂げ現在にいたりました。一言で“クラシック”と言っても、様々なクラシックスタイルが存在するのは間違いありません。

スーツのシルエットは大きく分けて、

-①肩パットの入った張りのあるショルダーラインとシェイプされ高めに設定されたウエストラインが特徴の「ブリティッシュスタイル」

-②丸みを帯びた柔らかくフィットするエレガントなシルエットが特徴の「イタリアンスタイル」

-③ナチュラルショルダーとウエストの絞りが少ないボックスシルエットが特徴の「アメリカントラディショナルスタイル」

の3種類に分類されるといわれています。
シルエットは全く違っていますが、あえて共通点があるとすれば「歴史」ではないでしょうか。
その「歴史」こそが“クラシック”として見直されてきているのは間違いないでしょう。

メンズファッションのトレンド発信は“PIITI IMMAGINE UOMO”から!

さて、現代日本におけるメンズトレンド(特にドレスアイテム)のトレンドの発信はイタリアで年二回開催される 「PITTI IMMAGINE UOMO 通称ピッティ・ウォモ」でしょう。イタリアブランドはもとより世界各国のナショナルブランドが翌年の新作を発表し、世界各国からメンズファッションに携わる様々な人々が集まる世界一の展示会です。
この展示会に出展されたブランドの出品傾向や、来場する世界中のファッションリーダー達の着こなしにより翌シーズンのトレンドが大きく左右されます。例えば、数シーズン前に細身のシルエットが主流だった頃に、各ブランドがこぞってタック入りパンツを発表したところ、翌シーズンから一気に大きなトレンドになり、今ではノータックよりもタック入りパンツが主流となっています。このように、メンズファッションにおいてトレンドはPITTI UOMOの会場からスタートしています。そして、その会場に詰めかけるバイヤーやジャーナリストなどにより、世界中に拡散されるのです。
来場するファッションリーダーたちも、ここぞとばかりに自分なりの着こなしをアピールします。WEB上でも数多くのスナップを見ることができることにより、世界中から注目を集めファッション関係者以外にも広く認知されるようになりました。

現代的“クラシック”のクロスオーバースタイルに注目!

その会場での商品動向や、ファッションリーダー達の着こなしから、今注目するべきトレンドは、“クロスオーバーさせたクラシックスタイル”です。

一番注目したいスタイルとしては、イタリアンシルエット×ブリティッシュディテールです。
パットを外したソフトで柔らかい肩回りと曲線的なウエストシェイプが特徴のイタリアンシルエットは、現在日本においても一番主流となるシルエットです。そこに、チェンジポケットなど英国調のディテールを加え、生地の柄も幅広のストライプやグレンチェックなど、古くから英国で愛されている伝統的な柄をセレクトするところに注目です。
ここで一つポイントがあります。それはジャケットのウエストラインが少しリラックスし、着丈が長くなっていることです。これは一時のスリムで着丈の短いスタイルから、イタリアのクラシックなシルエットに戻ってきているということです。今までは体型に合わせる=ピッタリとしたシルエットだったものが、若干のゆとりを持たせることによりエレガントなシルエットになっています。しかし昔とは違うのは、肩回りやバストなどはジャストサイズにすることです。ルーズシルエットではなく、エレガントなシルエットがこの春一番の注目です。

そしてもう一つ、構築的なブリティッシュシルエット×イタリアンディテールです。 いままで肩パッドの入った男らしく構築的だったブリティシュシルエットですが、イタリアンスタイルのように肩パッドを外したナチュラルショルダーにすることにより、少し柔らかくエレガントな印象をプラスしたスタイルです。しかし、胸元を強調するウエストラインはブリティシュシルエットのままにすることにより、男らしくエレガントなスタイルを作り上げることができます。襟元のゴージラインを少し下げた英国調の襟元が少しずつ見受けられますので、トレンドを先取りしたい方におすすめです。
おすすめするポイントとしては、ダブルジャケットです。ここ数年、ダブルジャケットのスーツをビジネスシーンで着こなしている方が多くなってきました。特に今シーズンは着丈が多少長くなる傾向ですので、ウエストシェイプが高めに設定してあるブリティッシュシルエットのダブルジャケットは非常にスタイリッシュです。肩回りはリラックスさせ、全体的なシルエットはシャープなニューブリティッシュスタイルに注目です。

スラックスのトレンドは“リラックスシルエット”

年々増加していくタック入りのスラックスですが、いままではヒップや腿回りにゆとりを持たせ、裾口は細い極端なテーパードシルエットが主流でした。今シーズンも同じシルエットが主流となりそうですが、新たに裾口までゆとりを持たせた、なだらかなテーパードラインのシルエットが多くのブランドから発表されています。
これは、ゆとりを持たせたジャケットに合わせての傾向となっています。

ブリティシュシルエットが日本の主流となっていた2000年前後は、スラックスのシルエットはストレートでした。クラシコイタリアが日本で浸透すると、すっきりとしたスポーティーなテーパードシルエットが台頭し、ノータックのスリムパンツをスーツに合わせるスタイリングが流行しました。
数年前から、クラシックなスタイルが見直され、徐々にスラックスのシルエットはリラックスしたものになってきました。カジュアルではワイドパンツが流行していますが、ドレスアイテム(特にスーツ)のスラックスはテーパードシルエットが良いでしょう。ただし、極端に裾口の細いスリムテーパードではなく、程よくゆとりのあるリラックスしたテーパードシルエットに注目です。スラックスの丈は、長すぎず短すぎないぎりぎりのノークッションがおすすめです。

今シーズンのトレンドの“色と柄”

ジャケットもスラックスもクラシックなディテールやシルエットがトレンドになっていますが、今シーズンは生地の色や柄も今まで以上にクラシックな印象の生地に注目が集まっています。
ここ数年はネイビーからブルーの色が主流となっていましたが、今シーズンはグレー系の色が増加傾向です。これはグレンチェックや千鳥格子など伝統的な柄がトレンドになっているからだと思われます。柄の傾向としては、ブリティッシュテイストの強いカラーストライプやチョークストライプなどのストライプ柄も流行の兆しが出ています。
グレンチェックというと、どうしても秋冬のイメージが先行しがちな柄ですが、今シーズンはライト~ミディアム系のトーンが多くなってきていますし、サックスやピンクなどパステル系のペインを合わせたものも多くありますので春夏でも重たい印象なく着こなせます。チェックのスーツに抵抗がある方でも、伝統的な柄であればチャレンジしやすいと思います。

そして新しいトレンドとして、ベージュやブラウンが多くみられるようになりました。これは夏に向けてサファリ調のカジュアルファッションがトレンドになっている影響だと考えられます。
なかなかビジネスでは手が出しづらい色ですが、綿や麻素材を選ぶと、クールビズに向けて人とは少し違う着こなしがしたい方におすすめの色です。

雑貨のトレンドも“クラシック”と“きれいめカラー”

そして雑貨にも、クラッシックの波がきています。
特にスーツのコーディネートの一番のポイントになるネクタイもクラシックがトレンドです。欧米の老舗ネクタイメーカーや、生地メーカーがこぞって過去のアーカイブの中から古典的な柄を復刻させたコレクションを発表しています。今まではどちらかというと、ソリッド(無地)柄や、細めのピッチのレジメンタル柄、控えめなドットや小紋柄が主流でしたが、先シーズンから太いピッチのレジメンタル柄や、大柄のペイズリー柄や幾何学模様柄などクラシックな柄が増えてきました。今シーズンはその傾向がますます強くなってきます。

色に関して一番注目なのはイエローです。各ブランド、イエロー系ネクタイの打ち出しが多く見受けられます。1990年代に黄色のネクタイは一時流行しましたが、今シーズンはそのころとは全く違う現代風のアレンジが加えられていて、さわやかな印象を受けるVゾーンが作れます。イエローは、昨年の夏のPITTI UOMOで一番目を引く色で、ネクタイの挿し色だけではなく、シャツやニットなど様々なアイテムでトレンドとなること間違いなしです。
ネクタイのトレンドカラーは、その他に、ピンク・パープル・エンジなど赤系とグリーン系にも注目です。

春夏スーツの“仕立てポイント”

ここまで、今シーズンのトレンドを解説しました。
そこでHANABISHIが今シーズン、スーツをオーダーする際のポイントをまとめてみました。

①クラシックディテールをミックス

-②ジャケットにもスラックスにも、少しゆったりとしたリラックスシルエット

-③クラシック感ある英国調の生地

-④ネクタイは、きれいめカラー

この4つのポイントに注目です。
この中でも、③英国調の生地が一番のポイントです。

ABRAHAM MOON(アブラハムムーン) -イギリスで生産されている歴史ある生地メーカー-

この名前を聞いて、ツイード素材を連想される方も多くいらっしゃると思います。もともとジャケット生地で有名なブランドですが、実は先シーズンから日本市場向けのスーツ生地を展開しており、今シーズン本格的にHANABISHIでも販売することになった生地です。イギリス素材らしい太番手の糸を使いながらも、柔らかな風合いを持っているのが特徴です。

ABRAHAM MOON(アブラハムムーン)は、第6代ビクトリア女王が英国の王位に継承された1837年にウエストヨークシャー州のリーズ市にて設立されました。
もともとは、地元ヨークシャーの家庭で糸を紡いでおる小さな手工業に糸を供給し、そこで生産されていた英国のツイード(ホームスパン)を買い取り、仕上げて販売するというスタイルでした。近くには鉄道が走り、きれいな水の供給源もあり、徐々に市場を拡大していきました。A・MOON社では、糸の染色から生地の紡績・仕上げまでの工程が一つの敷地内で一貫して行われています。この生地生産を一貫した工場で行う工程は、英国内では唯一、世界的にもごくわずかとなっており、品質の安定性や納期管理をしっかりと行えるメリットがあり、ツイードが家庭でおられるホームスパンだった頃を蘇らせるような、伝統的なツイードは世界中の人から愛されています。
染色の方法も魅力的で、500以上の濃淡や色合いを表現できるというA・MOON社の染色はツイードならではの味のある生地の風合いを生み出します。染色のレシピは保管され、代々受け継がれる伝統的なものになっています。また品質の向上と能率の改善のため、常に最新の科学的な生産技術に最大限の投資を積極的に行なっています。

そんなABRAHAM MOON(アブラハムムーン)が、得意とする太番手の糸を使い、最新の技術により柔らかな風合いに織りあげたスーツ生地に、ぜひ触れていただきたいと思います。英国調の色柄をセレクトしていますので、クラシックディテールの相性も良く、さらに柔らかく仕上げてある生地ですので、リラックスしたシルエットにもピタリとはまります。
しかもこの生地は、高級生地メーカー各社が展開し好評を得ている、オールシーズン対応生地です。いわゆる真夏と真冬以外着用できる10マンススーツが作れます。クールビズの拡大により、真夏はスーツを着る機会が少なくなってきていますので、10マンススーツは着用機会が増え経済的にも懐にやさしいスーツとなるでしょう。クラシックや英国調のトレンドはまだしばらく続きそうですから、年間使用できるスーツを1着作ることにより、毎日のスーツローテーションも楽になります。
ぜひ、イギリスの伝統ある生地メーカーABRAHAM MOON(アブラハムムーン)をお試しください。

まだあります!今シーズンの“おすすめの生地“

各国のクラシックをクロスオーバーさせたスタイリングがトレンドの今シーズンですが、HANABISHIにはイギリスの老舗ABRAHAM MOON(アブラハムムーン)以外にも、このスタイリングにピッタリの生地を取り揃えています。
その中でもおすすめは次の3つのブランドです。

・TRABALDO TOGNA(トラバルド トーニャ):イタリア
・COLCHIS(コルキス):日本
・JOHN GREENISH(ジョン グリーニシュ):イギリス

TRABALDO TOGNA (トラバルド トーニャ) 
歴史あるイタリアの服地メーカーでSuper160‘s以上の原毛を取り扱うので有名です。数あるコレクションの中で、今シーズンHANABISHIが選んだのはウール100%なのに20%以上のストレッチ性をもった世界唯一の生地「ESTORATO(エストラート)」です。十分な艶とハリをもちながらストレッチに優れたイタリア素材はアクティブに活躍するビジネスマンに最適の生地です。

COLCHIS (コルキス) 

Super130‘sの原毛をあえて太目に縒った糸を使い、日本が誇る毛織物産地「尾州」の古い低速織機「ションヘル織機」で生産されています。高速織機で大量生産される生地とは一味違う風合いです。日本の職人がゆったりとした時間の中で織った希少性の高い素材は、英国調のクラシックディテールと好相性です。

JOHN GREENISH (ジョン グリーニシュ) 

今注目のイギリスの服地メーカーです。1981年にハダースフィールドに拠点を移転しますが、その前は19世紀の産業革命で羊毛産業で発展したヨークシャーのブラッドフォードで最も古い生地メーカーと呼ばれていました。現在は、英国国内だけではなく、北米・南米・カリブ諸島や中東・極東に至るまで、世界のマーケットにウールファブリックを供給するイギリスを代表する生地メーカーの一つです。イギリスならではのしっかりと目の詰まった打ち込みの良い素材は、耐久性を求めるビジネスマンに最高の一着です。

今シーズンもクラシックなスーツがトレンドです。シルエットは、いままでのスリムスタイルから少しゆったりしたリラックスシルエットに変わってきています。
シルエットやディテールだけではなく、生地にもクラシックな雰囲気を入れると、がらりと印象が変わることでしょう。
SSシーズンは、イギリスとイタリアをクロスオーバーさせたスタイリングで、こだわりのクラシックスタイルを仕立ててみるのはいかがでしょうか?

西林 和之
Writer
西林 和之
株式会社花菱
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
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